2016年3月9日水曜日

答えを探すだけの読解授業はやめよう

日本語学校で中上級のクラスを受け持っているのですが、
モチベーションを保つのが難しい。
いえ、私の話ではなく、学生達です。

日本語能力試験も終わり、進学先、就職先も決まり、目標がない状態なので、そりゃあ勉強なんて後回しですよね。気持ちはわかります。
でもせっかくお金を払って学校に来ているのだから、来てよかったと思ってほしい!


そんな中で、担当している「読解」の教材が終わってしまったので、残りは別の教材で挑戦させることにしました。時間は45分2コマです。
今回、『話す・書くにつながる!日本語読解 中上級』の5課「自分にとっての家族」を題材に選びました。まず、扉の絵のみを見せて「自分がこれは家族だと思うグループに丸をつけて」と指示。「家族の定義はなんですか」と聞いてくる学生を自分で考えてと突き放し、丸をつけ終わったところで共有。
「お父さんと子どもだけでは家族ではない」と言った男性に、普段おとなしい両隣の女性達が「お母さんが死んでたら?」と反論したり、結婚していないカップルは一緒に住んでいても家族ではなく恋人だという多数派に反論する少数派とか、しょっぱなから発言が多いこと多いこと。あんた達、いつもはぼーっとしてるのに!


その後、「内容確認」という、いわゆる「問題」を確認してから本文を各自で黙読。なにも言わないのに、内容確認の答えを探して書き込んでいく学生達。よしよし。
あらかた書いたかなと思える頃に、3、4人のグループに分かれて答え確認。読むのが遅い人はここで追いついていました。
それから、全体で共有し、反論が出たりなんかして、家族ってどういう形だろうということに話題が及び、終了。

ええ、終了です。

本当は、ディスカッションしたことを元に、家族像についての意見文を書かせるところまで行う教科書なんですが、すみません、2コマでは無理でした。
ちょうど前半の「読む・話す」というパートが終了した感じです。

収穫としては
  1. 学生達がすごくのってくる話題で、発言が普段の5割増し!(体感です。)
  2. 発言者へ反論するときの言い方を再チェックできた。
  3. プレタスクが普段以上の盛り上がりだったので、その後の文章読解も皆真剣で、サボる人がゼロ!
反省点としては
  1. サクッとできるだろうとタカをくくっていた。 
  2. 本来は4コマで1課の教材。途中で止めるのはもったいなかった!
もう少しきちんと使えるようになりたい教材です。




▼講座情報

ワタクシが今回使用したテキストに関する講座があります。ワタクシは主催者側でバタバタしています。たぶん。

 3月27日(日)10:00-12:30 凡人社麹町店
いま大学で求められている日本語力とは何でしょうか?私たちの普段の授業を振り返りつつ、大学での日本語力をつける準備段階として読解授業ではどんな力を養ったらいいのか、読解教材には何が求められているかを考えます。さらに、『話す・書くにつながる日本語読解』を使ってどんな授業が出来るのか、授業の進め方を講師とともに考えます。 主催 特定非営利活動法人 日本語教育研究所  協力 株式会社アルク


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